はじめに

全ての賞賛は、万有の主であるアッラーにこそあり。そしてかれがその使徒ムハンマドとその系譜を称揚され、平安を与えて下さいますよう。

アッラー はイスラームの啓典の中で、こう仰いました: "-言え、「啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)よ、私たちとあなた方との間の正義の言葉へとやって来るのだ。(その言葉とは:)私たちがアッラー以外の何ものをも崇拝せず、かれに何ものをも並べたりしないこと。そしてアッラーを差し置いて、自分たちの内の誰かを主としたりしないこと。」それでもし彼らが(この期に及んでその言葉から)背くのなら、こう言うのだ:「あなた方は、私たちがムスリム(主に対して真に服従する者)であると証言せよ。」," [クルアーン3:64]

イスラームは人が生まれもって備えている天性にそぐう教えです。またイスラームはムスリム(イスラームの教えを受け入れた者)に対し、不可解なことがあればその権威や知識を備えた者に質問することを命じています。イスラームの教えには曖昧さや不可解さというものがなく、あらゆる物事に関して問いかけることが許されているのです。アッラーはこう仰っています: -もし知らないというのなら、(知識を備えた)啓典の民に訊ねてみるがよい。, [クルアーン16:43]

イスラームの特性

イスラームはそれ以前の宗教を無効化しました。イスラームこそがアッラーが人類のためにお選びになった最後の宗教であり、かれはそれ以外の教えを認められません。至高のアッラーはこう仰いました: -そしてわれら(アッラーのこと)はあなたに、真実をもって(クルアーン)を下した。それはそれ以前の諸啓典を確証し、かつ従属させるものである。, [クルアーン5:48]

本を読む

イスラームの精神的側面

アッラーがその主権において唯一であること:これはアッラーが存在し、かれこそがこの全宇宙の創造主かつ所有者であり、そこにおけるあらゆる物事を司るお方だということを証言することです。かれこそが全存在を存在せしめるお方であり、かれの御意志なしには何事も発生しないのです。至高のアッラーはこう仰いました: -かれにこそ創造と全ての権限は属する。万象の主アッラーの崇高さよ。, [クルアーン7:54]

本を読む

イスラームにおける主な目的

イスラム教が最も必要とする目標は、宗教、人生、名誉、富、心、子孫の保護、弱者と障害者の権利の保全です。
本を読む

私は親愛なる読者各位がイスラームに対する偏見や悪い感情に とらわれず、かつ目的を間違いの粗探しなどではなく真理への到 達と定めつつ、この小冊子を読んで下さるようお願い申し上げま す。至高のアッラーはクルアーンの中で、こう仰っています: そして彼らに「アッラーが下されたものに従え」と言わ れれば、彼らは言う:「いや、私たちは私たちの祖先がそ うであったところのものに従う。」彼らの祖先は物事を理 解もしなければ、導かれてもいなかったではないか? (クルアーン 2:170)

論理的な人間とは、何かを受容する際には十分研究し吟味する 者です。そして一旦何かが正しいということを証言するや否や、 人々の間にそれを広め、自分たちの間違いを改正しようとする者 なのです。

最後に、この小冊子において取り上げたことは、イスラームの 全側面を網羅しているわけではありません。イスラームはこの世 における人間の人生のあらゆる側面を取り扱っている、大変膨大 な教えです。これらを全て網羅するとしたら、何冊もの書籍が必 要となることでしょう。この小冊子で取り上げられているのは、 イスラームの基本的道徳に関しての主要な側面をまとめたものだ けです。また随所において、クルアーンと預言者ムハンマド(彼 にアッラーからの祝福と平安あれ)のスンナ(言行録)からの典 拠にも言及しています。

ある人たちは、イスラーム法が現代の法体系を修正して採用し ているということを暗示しようとして、イスラーム法の一部は現 代社会において履行されているではないか、と主張するかもしれ ません。しかしそのような疑念は、イスラーム法が 1400 年もの昔 から存在している事実により難なく払拭されるでしょう。むしろ、 それらの社会において施行されている法律自体が、イスラーム法 から取り入れられたものと言えるかもしれないのです。